この記事では、今まで750社の為替リスクの相談に応じてきた、弊社トレジャリー・パートナーズの代表である戸田が、「為替リスク管理規定の作り方」について解説しています。
現在、
- 為替リスク管理規定が、自社にとって必要だと感じている
- 為替リスク管理規定を作りたいが、どうやって作ればいいのかわからない
- 実際どのようなものなのか、サンプルを見てみたい
というような、お悩みを持っている方に、ぜひご覧になって頂きたい内容です。
この記事を読んでいただくと、
「自社の状況に合った、為替リスク管理規定」
を作れるようになるはずです。
具体的には、
- 為替リスク管理規定を作る前に考えるべきこと
- 為替リスク管理規定の作り方(5つの手順)
の順番でご説明していきます。
記事の最後では、弊社代表の戸田が監修している、為替リスク管理規定の雛形をプレゼントしております。
最後まで目を通して頂き、御社の為替リスク管理に、ぜひお役立て頂けたら幸いです。
日本企業の為替リスク管理の現状
まず最初に、日本企業の為替リスク管理の現状に関してお伝えします。
「独立行政法人経済産業研究所」による「2017年度日本企業の貿易建値通貨の選択に関するアンケート調査」結果によると、上場している製造業において、社内ルールがあると解答した企業は58.6%となっています。
※解答件数140件中82件があると解答
社内ルールがある会社の方が増加している傾向にあります。
また、2022年8月現在、為替相場の変動が大きく円安傾向にありますので、為替リスク管理の必要性も高まってきています。
弊社(株式会社トレジャリー・パートナーズ)代表の戸田の、個人的な視点で言うと、750社ほど銀行員時代に見てきましたが、グローバルに展開する企業は、為替リスクの管理規定を持っているところが多かったです。
為替リスク管理規定のモデル
為替リスク管理規定は、為替リスクの種別によって、複数のモデルに分かれます。
- 貿易サービス(輸出入)の場合
- 親子ローン(債権債務取引)の場合
- 海外子会社の資本金や利益剰余金の場合
- 本社の手元外貨資金の場合
自社がどのモデルに該当するかによって、為替リスク管理のやり方も変わってくるはずです。
たとえば、時間軸が異なる(決済までの期間など)事によって、取り組むべき事が変わってきます。
一般的に期間が長いほうが、為替リスクが大きいので、それに対応した管理規定が必要となるケースが多いです。
為替リスク管理規定の目的
「為替リスク管理規定」を作成する前にモデルを決めたら、次に「為替リスク管理規定」を作成する目的を定める必要があります。
下記のように、複数の目的があります。
自社の状況にあった目的を定めましょう。
- 為替差損の縮小のため
- 為替差益の拡大のため
- 会計に現れない本質的な為替リスクを管理するため
- 為替リスクの縮小のため
- 為替リスクの管理のため
- 属人的な管理にならないようにするため
- 両替や為替リスクヘッジの意思決定の方法を明確にするため
上場企業の場合、1と2を目的とする場合が多く、未上場の企業の場合は、3を目的とするケースが多いです。
4〜7はいずれの場合にも必要となる事が多いものです。
為替リスク管理規定の作り方!5つの手順を解説します
次に、具体的な、為替リスク管理規定の作り方をご説明します。
大まかな流れでいえば、作り方は下記のような手順になります。
- 目的の設定
- 用語の定義
- ルール作り
- 内部統制への対応(ダブルチェックなど、不正が起こらない体制の構築)
- 規定を変更する場合の条件を設定
それぞれの工程について、詳しくご説明します。
手順⑴:目的の設定
まずは、為替リスク管理規定を作る目的を明確にします。
例えば、会計上の為替差損を縮小させることを目的とするのか、それとも会計に現れない本質的な為替リスクを管理するためなのか、このような目的を決めていきます。
手順⑵:用語の定義
目的を設定したら、次に「用語の定義」を決めていきます。
これは目的の設定にも通じるのですが、例えば、「自社にとっての為替リスクとはなにか」を明確にしておく必要があります。
それは
- 金額的な話なのか
- それとも会計上の話なのか
- それとも個別の商取引に準ずるものなのか…
など定義の仕方がたくさんあります。
例えば、社内レートという用語を定義する場合にも、
- そもそも経営計画を建てるときの社内レートなのか、
- それともこの水準では為替リスクヘッジ取引を行いたいという、自社が希望するレートなのか、
- または自社にとって不利な為替レートを想定しておくものなのか…
など、色々な視点があります。
このように、一つの用語に対して、社内の人が同じ認識を持てるように、定義付けをしていく必要があります。
これを怠ると、認識の齟齬が起きて、あとから問題に発展するケースが想定されます。
手順⑶:ルール作り
「目的の設定」と「用語の定義」の2つを踏まえた上で、「御社独自の状況を踏まえ、設定した目的を達成するためのルール」を作っていきます。
為替レートは大きく変動するものなので、
- 為替レートの見通しを、どこまでオペレーションに反映させるか、
- はたまた自社が取り組み可能な金融商品をどのように設定するか
などを、具体的に考えていきます。
手順⑷:内部統制への対応(ダブルチェックなど、不正が起こらない体制の構築)
ルール作りの中で、内部統制への対応も必要になります。
例えば、本来ドル高のリスクをヘッジする取引を行いたかったのに、誤ってドル安のヘッジを行ってしまった場合、担当者はどうしてもその事実を隠したいと思うものです。
こういった、誤ったオペレーションをしてしまった場合のルールが明確でないと、
- 経営に影響を与えるような、大きな損失が発生してしまったり、
- はたまたその大きな損失に起因して、大事な社員を守れなかったり…
という事が発生してしまう可能性があります。
大きな損失を防ぐという事に加えて、自社の大事な従業員を守るという観点からも、内部統制への対応は重要な項目になります。
手順⑸:規定を変更する場合の条件を設定
時間の経過とともに状況は変わっていきますので、一度決めたルールも陳腐化していきます。
例えば、年に一度は見直しを行うなど、為替リスク管理規定を変更するトリガーを明確にしておく必要があります。
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ぜひ御社の為替リスク管理に、ぜひお役立てください。