先週の為替相場レンジ(変動範囲)
始値 | 安値 | 高値 | 終値 | 変化率 | |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | 132.79 | 130.77 | 134.50 | 131.11 | ▲1.27% |
EUR/USD | 1.0611 | 1.0605 | 1.0714 | 1.0702 | +0.86% |
EUR/JPY | 140.90 | 139.96 | 142.95 | 140.31 | ▲0.42% |
USD/CNH | 7.0000 | 6.9049 | 7.0092 | 6.9229 | ▲1.10% |
CNH/JPY | 18.97 | 18.89 | 19.28 | 18.94 | ▲0.16% |
先週の為替相場サマリー
日本円の買戻し優勢
USD/JPY
- ドル円は続落。1ドル=132.79円からスタートすると、週初は先週末の流れを引き継ぎ緩やかに上昇し、特段大きなイベントのない中で、木曜日の東京早朝にかけて134.50円まで上昇した。ただしその後は、反落。黒田日銀総裁の有力な後任候補として政策の柔軟性や機動性に重きを置く山口広秀・元日銀副総裁の名前が報じられる中、年末でもありリスクオフの円の買い戻しが強まると金曜日のNY時間には一時131円を割り込み130.77円まで下落した。週末は131.13円でクローズ。
- なお先週末の予想は「上」で、結果は「×」。年初来の正答率は65.9%。
EUR/USD
- ユーロは続騰。1ユーロ=1.0611ドルからスタートし、クリスマス休暇やボクシングデーの影響もあり、週央までは小動きが続いた。水曜日の欧州時間からドル円の売りによるドル売りも相まって、ユーロは力強く上昇。金曜日のNY時間に1.0714の高値をつけたのち、1.0702でクローズ。
- 先週末の予想は「なし」。年初来の正答率は62.9%。
USD/CNH
- 人民元は対ドルで上昇。1ドル=7.0000元からスタートし、週央まで小動きが継続。週末に掛けてはドル円におけるドル売りが加速したこともあり、ドル人民元もドル売りに傾いた。金曜日のNY時間に6.9049の安値を記録したのち、6.9229でクローズ。
- 先週末の予想は「上」で、結果は「×」。年初来の正答率は65.9%。
先週のできごと
①ロシアが対抗措置として原油輸出を制限、②中国のコロナ政策は新段階へ
※物価指数とマネー統計は前年同月比、GDPは前期比、特段の記載がない経済指標は前月比または当月の数値
26日
- 25日:ソビエト連邦崩壊から31年
- 英米独仏など主要国がクリスマスで祝日
- 日本11月企業向けサービス価格指数 +1.7%
- 日銀の黒田東彦総裁は経団連の審議員会で講演し、年明け以降に輸入価格の上昇を価格転嫁する動きが弱まるため「消費者物価の前年比プラス幅は来年度半ばにかけて縮小していく」との見通しを述べた。
27日
- 英加豪NZ香など「ボクシング・デー」の振替祝日
- 日本新設住宅着工戸数 ▲1.4%(前年同月比)
- 米国11月卸売在庫 +1.0%
- 米国10月住宅価格指数 +0.0%
- 10月ケース・シラー米住宅価格指数 +8.6%(前年同月比)
- 中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は2023年3月5日に全人代を開くと決めた。国政助言機関の全国政治協商会議(政協)は3月4日に開く。
- ロシアのプーチン大統領は同国産原油の輸入価格に上限を設けた国に対し、2023年2月から原油の輸出を禁止する大統領令に署名した。長期化するロシアのウクライナ侵攻への打撃を目指す主要7カ国(G7)などへの対抗制裁となる。
28日
- 日本11月鉱工業生産 ▲1.3%
- 12月リッチモンド連銀製造業指数 1
- 米国11月住宅販売保留指数 ▲4.0%
29日
- 米国前週分新規失業保険申請件数 22.5万件
30日
- 令和4年11月29日~令和4年12月28日における外国為替平衡操作額 0円
- 12月シカゴ購買部協会景気指数 44.9
- 岸田文雄首相は東京証券取引所の年内最後の取引を締めくくる大納会に出席した。「来年は資産所得倍増プラン元年として貯蓄から投資へのシフトを大胆、抜本的に進めていく」と述べた。
- 中国国家統計局が発表した2022年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.0だった。11月より1.0ポイント悪化し、好調・不調の境目である50を3カ月連続で下回った。
- 中国の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は2023年の年頭所感を公表した。新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策について「いま防疫対策は新段階に入っている」と強調し、転換する姿勢を示した。
注目の経済指標と政治イベント
注目は、①年始の投資家のリスクアピタイト、②ユーロ圏12月HICP、③米国経済指標(雇用+ISM)
2日
- 米英日中国など新年の祝日
3日
- 日本祝日(三が日)
- 10:45 中国12月Caixin製造業PMI
- 16:00 トルコ12月CPI
- 17:55 ドイツ12月失業率
- 22:00 ドイツ12月CPI
4日
- ポーランド中銀、政策金利
- 16:30 スイス12月CPI
- 16:45 フランス12月CPI
- 18:30 英国11月マネーサプライ
- 21:00 米国MBA住宅ローン申請指数(先週比)
- 24:00 米国12月ISM製造業景況指数
- 28:00 FOMC議事要旨
5日
- 08:50 日本12月マネタリーベース
- 10:45 中国12月Caixinサービス部門PMI
- 19:00 ユーロ圏11月卸売物価指数
- 21:30 12月チャレンジャー人員削減数
- 22:15 米国12月ADP雇用統計
- 22:30 米国前週分新規失業保険申請件数
6日
- 16:00 ドイツ11月小売売上高
- 19:00 ユーロ圏12月HICP
- 19:00 ユーロ圏11月小売売上高
- 22:30 カナダ12月雇用統計
- 22:30 米国12月雇用統計
- 24:00 米国12月ISM非製造業景況指数
来週以降
- 1月16日:ダボス会議(~20日まで)
- 1月18日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 2月1日:FOMC
- 2月2日:ECB
- 2月24日:ロシアのウクライナ侵攻から1年
- 3月4日:全国政治協商会議
- 3月5日:中国全国人民代表大会
- 3月10日:日銀金融政策決定会合
- 3月16日:ECB
- 3月22日:FOMC(経済予測データ付き)
- 4月5日:ECB
- 4月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 5月3日:FOMC
- 5月19日:G7広島サミット(~21日まで)
- 6月14日:FOMC(経済予測データ付き)
- 6月15日:ECB
- 6月16日:日銀金融政策決定会合
- 7月11日:NATO首脳会議
- 7月26日:FOMC
- 7月27日:ECB
- 7月28日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 8月(時期未定):ジャクソンホール会議
- 9月14日:ECB
- 9月20日:FOMC(経済予測データ付き)
- 9月22日:日銀金融政策決定会合
- 10月26日:ECB
- 10月31日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望付き)
- 11月1日:FOMC
- 12月13日:FOMC(経済予測データ付き)
- 12月14日:ECB
- 12月19日:日銀金融政策決定会合
経済用語解説
- GDP=Gross Domestic Product(国内総生産):高成長が良い
- CPI=Consumer Price Index(消費者物価指数):2%目標を掲げる先進国が多い
- HICP=Harmonised Indices of Consumer Prices(ユーロ圏の消費者物価指数):2%がターゲット
- PCE=Personal Consumption Expenditures:個人消費支出、消費者物価と相関が高い
- PPI=Producer Price Index(生産者物価指数):CPIに影響を与える
- PMI=Purchasing Manager Index(購買担当者景気指数):50が基準
- ZEW=Leibniz Centre for European Economic Research(欧州経済研究センター):0が基準
- NAHB(National Association of Home Builder)住宅市場指数:50が基準
- MBA(Mortgage Bankers Association)住宅ローン申請指数:前週比で住宅ローン申請件数を測定
- S&P/ ケース・シラー住宅価格指数は、「20大都市圏住宅価格指数」がよく利用されている。景気に大きな影響がある住宅市場の動向を確認する上で重要な指標。
住宅販売保留指数:売買契約は終わっているが、引渡しが済んでいない物件数を指数化 - ニューヨーク連銀製造業景気指数:0が基準
- フィラデルフィア連銀製造業景気指数:0が基準
- リッチモンド連銀製造業指数:0が基準
- シカゴ購買部協会景気指数:50が基準
- ミシガン大学消費者態度指数:1966年を100として指数化
- 欧州消費者信頼感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(速報の発表は前月比で報告される)
- 欧州景況感指数:2000~2020年の平均を100としてその上下を図る(発表は実数で報告される)
- 消費者信頼感指数:1985年を100として指数化したもの
- 日本景気動向指数:2015年を100として指数化したもの
- 日本景気ウォッチャー調査:50が基準
- 日本法人企業景気予測調査:0が基準
先週の通貨強弱
ドル売りが優勢
クロス円は下落
※通貨騰落率を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています
- 米ドル売りが優勢(114/196ヶ国)
- 先週の通貨強弱は右記の通り 人民元 > 日本円 > ユーロ > ドル > ロシアルーブル
- 特にロシアルーブルの下落が目立つ、原油輸出の制裁の影響というよりは、戦況を踏まえての投資家判断の結果とみている(新年の大きなリスク要因となり得る)
- 円の買い戻しが強い点も、日銀総裁の後任人事うんぬんというよりは、ロシアウクライナ間の戦争の影響を受けたリスクオフの可能性に十分留意しておきたい
グローバルマクロ環境の整理(最新版)
- 年始は引き続きリスクオフを警戒
- 2023年は米国やユーロ圏の利上げに各国の経済が耐えられるか、正念場を迎えるだろう
- いよいよ新年がスタートし、多くの投資家がマーケットに戻ってくる
- そのため、大前提として、ここからが相場の始まりであり、流れの起点となり得ることにあらためて留意しておきたい
- その上で外為市場では各国金融政策における引締め(利上げ)余地が意識される。
- 主要通貨の中ではユーロの利上げ余地が大きく、したがってユーロ高がメインシナリオ
- ユーロ圏と中国の短期金利水準が逆転したことなど、各国の金利水準(金利の高低)が入れ替わっており、これが目先、相場に大きな影響を与える
- また一通りの利上げサイクルを経たということは、需要が減退し、結果として「不景気」が訪れる可能性が高い
- 米国の度重なる利上げにより米国住宅市場に変調が見られていることもリスクオフの大きな一因である
- こういった中で、リスクオフが意識され、低金利調達通貨である日本円へ回帰するシナリオに留意しておきたい
- 日銀がYCC(イールド・カーブ・コントロール)を修正するなど政策変更を開始しており、今後のさらなる政策変更に注目しておく必要はあるが、日本のインフレ圧力は相対的に低いため、今後もそこまで大きな転換は起こらないのがメインシナリオ
- 中国においてはゼロコロナ政策の転換後にコロナ感染者数が急増しているが、これは免疫獲得のステップであり、マクロ経済的には中期でプラスに働くはず
- 金利差が大きく残り続けるドル円(USD/JPY)に関して、通年では「ドル買いが優勢」と見ているが、リスクオフの円買い戻しとの綱引きで乱高下の展開を想定
- ロシアルーブルが2週連続で暴落するなど、ロシア・ウクライナ情勢を絡めてきな臭い兆候も見られているので特に目先の円買戻しには警戒しておきたい
チャート分析
※赤いラインは注目の水準、赤い点線は注目水準を突破したことを示す
ドルインデックス4時間足
※ドルインデックス=ドルの総合的な強さを示す指標(構成比:EUR57.6%, JPY13.6%, GBP11.9%, CAD9.1%, SEK,4.2%, CHF3.6%)
- 103.50の下値支持を下回った水準103.23でクローズ
- 下落の勢いが和らいでいるように見えるが、年末要因で参加者が少なかったことを考慮すれば、年始もさらなる下押しを警戒しておきたい
- 上値抵抗:109.00、114.72
- 下値支持:101.00、99.20
USD/JPY 4時間足
- 年初来高値からの36.2%~50.0%戻し(132.72~137.26)を青い四角で表示
- 節目の132.72を明確に下回って週末を迎えたことから目先は下押し圧力が強いと判断
- 130.00円を割り込む展開を想定
- 上値抵抗:142.00、149.45、151.96(直近の高値)、160.33(1990年4月の高値)
- 下値支持:130.50、127.00、125.86
EUR/USD4時間足
- かなり底堅い挙動を示している
- 1.0770の上値更新を想定
- 上値抵抗:1.0770, 1.1000, 1.1210
- 下値支持:0.9680, 0.8845
USD/CNH4時間足
- 6.98レベルをクリアに下抜けてクローズ
- 目先は下押し圧力が強まりそう
- 上値抵抗:7.3700
- 下値支持:6.8000
今週の相場見通し
全体
- 週初はさらなるリスクオフに起因した円の買い戻しを想定
- 年末の動きを考慮すれば、いましばらくドル売りが優勢になる可能性が高いと見ている
- 特に今週はロシア・ウクライナ情勢の変化に注目したい
- 本格的にプレイヤーが戻ってきて、ドル買いとなるか、さらにドル売りとなるか見極めの時間帯となる
USD/JPY
- 先週末の終値:131.11
- 目線:下
- 想定レンジ:128.00~133.50
- 年末の動きを引き継ぎドル売り、円買戻しの継続を想定
- 特にロシア・ウクライナ情勢には意識を向けておきたい
- 情勢が落ち着いたタイミングでは金利差からドル買いのフローも入ってくるだろう
EUR/USD、EUR/JPY
- 先週末の終値:EUR/USD 1.0702
- 目線:EUR/USD 上
- 想定レンジ:EUR/USD 1.0575~1.1000
- ユーロ金利の上昇に伴い、今もっとも買われやすい通貨
- 先週は反落しそうな形状から、結果としてじり高となったことで、今週はさらに買われやすくなったと見ている
- ファンダメンタルズ的にも、チャート的にも上を見ておくのが無難と判断
USD/CNH、CNH/JPY
- 先週末の終値:USD/CNH 6.9229
- 目線:USD/CNH 下
- 想定レンジ:USD/CNH 6.8000~7.0000
- ドル円のドル売り、ユーロドルのドル売りを考慮すれば、ドルは人民元に対しても売られる可能性が高そうだ
- コロナ感染者数の拡大は短期でネガティブ材料も、一旦はドル売り人民元買いが強まる展開を想定
ご留意事項
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